
『Last Twilight』は、視覚という「光」を失った青年と、過去に迷いを抱えた青年――ふたりの出会いと再会を描いた物語です。
突然、視力を失ってしまったバドミントン選手・デイ。夢も未来も見えなくなり、心を閉ざして生きる彼の前に現れたのが、過去に挫折を抱えるモークでした。最初は反発し合うふたりですが、少しずつ互いの孤独や弱さに触れ合い、やがて心の距離も静かに近づいていきます。
見えなくなっていく世界の中で、それでも確かに感じるやさしさと愛――失うことの痛みと、そこから生まれる希望を、切なくも温かく映し出すラブストーリーです。

そんな物語の第5話の舞台となったのが、チャオプラヤー川沿い、王宮から少し南へ進んだエリアにある「チャオプラヤー・スカイパーク」と「パーククローン花市場」周辺の花屋。不器用ながらもモークの滲み出るやさしさが胸に沁みる、印象的なシーンが生まれた場所です。
最寄り駅はMRT サナーム・チャイ駅。駅から徒歩約10分ほどで到着します。この一帯は花や植物を扱う店が軒を連ね、歩いているだけでも楽しく、あたりにはふんわりと花の香りが漂っています。

チャオプラヤー・スカイパークは、バンコク中心部を流れるチャオプラヤー川に架かる旧鉄道橋を再利用して整備された、全長約280メートルのスカイウォーク型公園です。かつて使われていた橋脚を活用し、歩行者専用の展望スペースとして生まれ変わった、バンコクでも珍しい都市型公園のひとつとなっています。
園内からは川の流れを間近に眺めることができ、行き交う船や、両岸に広がる街並みを一望。対岸には高層ビル群と歴史ある建物が混在し、近代都市と伝統文化が共存する、バンコクならではの景観が広がります。近くには寺院の屋根や主要道路も見え、街の鼓動を感じられる立地です。

特に夕方から夜にかけては、川沿いの風景が刻々と表情を変え、昼とは異なるロマンチックな夜景へと移り変わります。日中の開放的な雰囲気と、夜の落ち着いた空気――時間帯によって異なる魅力を楽しめるのも、この公園ならではです。バンコクの都市景観を安全に、ゆっくりと楽しむことができる観光スポットとして、散策や写真撮影にもおすすめの場所です。
一方のパーククローン花市場は、バンコク最大規模を誇る生花の卸売市場。市場内には、バラやラン、ジャスミン、マリーゴールドなど、タイ国内で生産された色とりどりの花々が所狭しと並びます。切り花はもちろん、供花やフラワーアレンジメント用の資材も豊富。仏教文化が日常に根付くタイではお供え用の花の需要も高く、早朝から多くの寺院関係者や花屋が仕入れに訪れます。

ここは単なる観光地ではなく、バンコクの暮らしを支える「花の流通拠点」。華やかな見た目の裏側にある物流や商いの現場も含めて、タイの都市文化を肌で感じられる貴重な場所です。
『Last Twilight』第5話で描かれた、チャオプラヤー・スカイパークとパーククローン花市場周辺のシーンは、デイとモークの関係が少しずつ変化していく、やさしくも切ない時間が流れる印象的な場面でした。
川の流れ、夕暮れの空、花の香り、人々の営み――それらすべてが物語の空気と重なり合い、ふたりの心情を静かに映し出しています。
ロケ地を実際に歩くことで、画面の中にあった感情や温度を、よりリアルに感じ取ることができるはずです。『Last Twilight』の世界観に触れながら、物語の余韻をたどる散策は、ファンにとって特別な時間になることでしょう。
(編集部 ティウ)
タイ自由ランド 2025年12月20日号掲載



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