タイが好きすぎて就職までしちゃいました! ―新卒社員ティウの奮闘記― 第7回「ラマ8世橋とタイドラマがつなぐ、私の新しい趣味」

チャオプラヤ川を一望できる席に腰を下ろし、ぼんやりと川面を眺めていたときのことです。

「パーーーーッ!」

突如、ラッパのような鋭い音が静寂を破り、辺り一帯に響き渡りました。思わず周りを見渡すと、目の前に広がったのは、上流から流れて来る、細長いボートの大群。

まるでカヤックを細く伸ばしたような船体に、同じ色の制服をまとった人々が整然と並んでいます。先頭に立つ人物は背筋をピンと伸ばし、他の船員も一糸乱れず微動だにせず座ったまま。

力強く漕ぐのではなく、流れに身を委ねながら堂々と進むその姿は、まるで絵画の一場面のようでした。

ボートは一隻、二隻と橋の下から次々に現れ、川幅を埋め尽くすほどに連なっていきます。
ラマ8世橋のたもと、濁流のチャオプラヤ川、そして鮮やかな赤い制服。
そのコントラストが織りなす光景は、息をのむ迫力でした。

後に知人から、これは国王の式典に向けたリハーサルだったと聞きました。
静かな図書館の窓から見た壮大な場面――タイの日常は、こうした予期せぬ出会いに満ちているのかもしれません。

そして実は、私がこの図書館を訪れたのには、もう一つ理由がありました。
それは、すぐ目の前にそびえる「ラマ8世橋」。タイドラマ好きにとってここは特別な聖地です。
「SOTUS」「KinnPorsche」「Cutie Pie」……数え切れないほどのドラマで、ロマンチックなシーンの舞台となってきました。

そんな橋を眺めながら勉強や読書ができるだけでも十分幸せなのですが、この日はどうしても夜のライトアップを体験したくて、図書館に夜8時まで滞在しました。

日が暮れ、光に浮かび上がった橋を渡る瞬間、気分は最高潮。
「ここ!ここ!『SOTUS』でアーティット先輩とコングポップが歩いた場所!」と胸を高鳴らせ、夢中でシャッターを切りました。主題歌をイヤフォンで流しながら歩けば、この上ない幸福感に包まれます。

この体験をきっかけに、私は“聖地巡り”にのめり込むことに。新しい趣味との出会いが、タイ各地をめぐる新たな冒険へとつながっていくのです。

――新卒社員ティウの奮闘記、次回もどうぞお楽しみに。

チャオプラヤ川を進む船

タイ自由ランド 2025年10月5日号掲載

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