バンコクの人口のうち5人に1人がスラムに住んでいることをご存じでしょうか?私たちがあまり知らないだけで、バンコクには、2000カ所ものスラムがあり、そこに約210万人が暮らしています。その中で最大規模のスラム地区である「クロントゥーイ」には、377万㎡の面積に約10万人が住んでいます。
クロントゥーイのスラムに暮らす人々の多くは貧困層で、さまざまな団体からの支援を受けています。その中でも、特に子どもや青少年の生活の質向上を目指して教育支援を行っているのが「シーカー・アジア財団」です。
この財団では、教育支援を中心に、コミュニティ図書館と移動図書館での読書推進活動、奨学金の支給、学生寮と保育園の運営など、さまざまな活動を行っています。さらに、保育士や図書館司書を対象とした研修や交流プログラム、緊急支援活動も実施しています。
そのほかにも、コミュニティ開発や、スラムに暮らす女性への職業訓練、少数民族などの伝統文化継承活動にも取り組んでいます。活動地域は、クロントゥーイのスラムだけでなく、バンコクの都市スラムや農村部の貧困地域、タイとミャンマーの国境地域などに広がっています。
シーカー・アジア財団では、こうした活動の一環として、スラムツアーを隔月で開催しています。このツアーでは、クロントゥーイのスラム43地区のうち4地区を訪れ、実際に歩いて回ります。
ツアーの前は、シーカー・アジア財団の3階の部屋で、クロントゥーイやスラムについての講義を30分ほど受けます。
普段は足を踏み入れにくいクロントゥーイのスラムは、人が一人通れるほどの細い道に家々が密集して建てられており、ツアーの案内がなければ迷子になりかねないほど入り組んでいます。道の脇や家の下には、黒い水にごみが浮かんでいる光景も見られ、発展するバンコクの裏側で、このような環境で生活している人々がいるということを実感します。
こうした環境で暮らす子どもたちにとって、学びや憩いの場となっているのが、シーカー・アジア財団の建物1階にあるコミュニティ図書館です。たくさんの子どもたちが訪れ、施設内を思い思いに駆け回りながら、スタッフやボランティアの人たちと楽しそうに遊んでいます。
また、シーカー・アジア財団は「FEEMUE(フィームー)」というライフスタイルブランドも運営しています。このブランドは、クロントゥーイのスラムに暮らす女性たちのための職業訓練所から発展したもので、スラムのネガティブなイメージを払拭し、そこでの生活を伝えたいという思いから、日本人デザイナーのFUJI TATE Pさんと共同で立ち上げられました。商品の売り上げはシーカー・アジア財団を通じて、スラムに暮らす子どもたちの教育支援や環境改善に役立てられています。
シーカー・アジア財団のスラムツアーは親子連れでも参加可能です。また、ボランティアを随時募集しているので、興味のある方はぜひホームページをご覧ください。
シーカーアジア財団
FEEMUE
2024年12月5日発行