道のあちこちで出会える「屋台」。タイに来たら真っ先に挑戦したいと心に決めていた場所です。今回は、私がはじめて屋台ごはんに挑戦した日のことをお話しします。
夏服と日用品の買い出しを終え、この日はタイに来てから初めて訪れた「何も予定のない日」。でも、せっかくタイにいるのに家でじっとなんてしていられません。そこで私は、サイアムを目指して、気の向くまま散策を始めました。
出発したのはお昼過ぎ。暑さと歩き疲れで、そろそろおなかも限界です。ふと目に入ったのは、大通りに並んだ屋台の列。立ちのぼる湯気と香ばしい匂いに吸い寄せられるように足が止まり、そこで私はタイでの「初屋台ごはん」に挑戦しようと決めました。
炎天下の下、大きな鍋を軽々と振るう大柄なおじちゃんに少し緊張しつつ、「パッタイをお願いします」と注文。日本のタイ料理店で2年以上アルバイトをしてきた経験から、パッタイは辛くないと高をくくっていたのですが…それが運命の分かれ道でした。
一口食べた瞬間――「か、辛い…!」
思わぬ辛さに驚く私を、おじちゃんが心配そうに見つめます。私は携帯していた水をがぶ飲みしながら、暑さと辛さのダブルパンチに耐え、なんとか完食。
火照る口を冷ます方法を探してあたりを見渡すと、目に飛び込んできたのは見慣れない飲み物。透明なプラスチックボトルに、ルビーのような果実がぎっしり詰まったザクロジュースです。日本ではあまり馴染みのない果物の姿に惹かれ、迷わず購入。
キンキンに冷えたジュースを一口含むと、さっきまでのピリピリがすーっと引いていくではありませんか。しかも砂糖不使用で、甘すぎず、すっきり爽やか。搾りたてのような果汁感が口いっぱいに広がり、あっという間に飲み干してしまいました。
皆さんもタイでザクロジュースの屋台を見かけたら、ぜひ立ち寄ってみてください。暑さも辛さも、一瞬で忘れさせてくれる「魔法の一杯」に出会えるかもしれません。

シーフードたっぷりのパッタイ

辛さが和らぐザクロジュース
タイ自由ランド 2025年9月5日号掲載
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