【パヤナーク戦記】3.禁断の島への上陸
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
私はドアを開けていいのかどうか迷ってしまった。ほぼパニック状態だったのでどうしたのか思い出せない。とにかくドアを叩くので私は何も考えずに、ドアを開いてしまったらしい。彼女は黒い大きな瞳で私を見つめ、私に白い粉を吹きかけた。私は意識を失ってしまいその後何が起きたのか覚えていない。
目を覚ますと私は不思議な場所にいた。ジャングルだった。まわりは密林で囲まれていた。周りの木々が生い茂り、上を見上げても空を見ることができなかった。葉の隙間からさす日光によって、周りを見ることはできるが、空からは地上を見ることができないのだ。
そして、白い粉を私にかけた、彼女は私を見つめて微笑んでいた。
気がついたようですね。私の名前はホウです。あなたを救い、あなたといっしょに宇宙からの侵略者と戦うために大地の守り神タオ様から遣わされました。
ここは、はるか昔から外界と絶縁された太古の島です。
誰かがこの島に上陸しようとすると、この島の秘密を守るために、島の人達は誰でも殺してしまいます。
島の秘密とは、この島の巨大な地下神殿と守り神マボマボ様のことです。
”いったい何を言ってるんだ。何で私はこんな場所にいるんだ。あの巨大な蟹はどうしたんだ。”
”おちついてください。もう安全です。”
分厚い唇のホウの口は動いていなかった。テレパシーで話しかけているのだ。それは、あの巨大なマグマの亀と同じだった。
”でも、なんで私はこんなジャングルにいるんだ、どうやってここに来たんだ。”
”それは、私の空間移動の能力を使ったんです。”
”空間移動って、ある場所から別な場所へ移動できるってこと。”
”はい。次元の移動はできませんが、空間は移動できるのです。”
私は何のことかよく理解できなかった。
私はスマートウォッチでAIアシスタントのユミに現在の居場所をきいてみることにした。
”僕のいる現在の場所はどこにいるんだい。”
”現在の場所はインド領アンダマン諸島中の島。インド洋東部・ベンガル湾内にあり、アンダマン諸島の南西部、南アンダマン島の西、約30kmに位置する北センチネル島です。”
私は北センチネル島など知らなかった。
さらに詳しい情報をきいてみた。
”北センチネル島には数千年もの間、外界との接触を拒んできた先住民族がいる島です。その島に上陸しようとした人たちはみんな先住民族によって殺されてしまったそうです。現在行くことが難しい秘境の一つと言われています。なんでそんな場所にいるのですか?”
”ユミ、それは私の知りたいことだよ。”
”危険な場所なので、早く家に帰ったほうがいいですよ。”
私は笑ってしまった。帰れるものなら、帰りたいにきまってる。
”何をやってるんですか。さあ、地下神殿に行ってみましょう。そして、守り神マボマボ様にあいさつにいきましょう。”
ホウは私の手をつかんで、引っ張った。とても強い力だった。
大きな木の生い茂る密林をしばらく歩くと、さらにとてつもなく巨大な大木にたとりついた。
巨大な大木の根本には、日本の神社の鳥居のようなものがあり、さらにその鳥居をくぐって中に入ると木の根元に空洞があり、広い広場のような場所になっていて、周囲には数多くの松明がともっていて明るかった。その正面には石像があり、祭壇のようになっていた。石像は下半身が人間で、上半身はワニのような姿をしていた。しかも、その生物は宇宙服のようなものを着ていた。
”これは守り神マボマボ様の像です。一般の住民は地下神殿に入ることは禁じられているので、ここで願い事をマボマボ様に祈るのです。”
私は石像をよく見てみた。不気味な姿にもかかわらず、その表情は妙にやさしさにあふれていた。
北センチネル島
北センチネル島(きたセンチネルとう、North Sentinel Island)は、インド洋東部ベンガル湾内に所在する未開の島。インド領アンダマン諸島に所在し、南アンダマン島の西約30kmに位置する。この島の先住民であるセンチネル族は外部との接触を強く拒否しており、行政当局も何度も追い返されている。行政当局は感染症の流行により民族絶滅の可能性もあるため干渉しない方針であり(いわゆる非接触部族)、インドの法律で島への接近は禁止されている。
NASA Earth Observatory image created by Jesse Allen, using data provided by the NASA EO-1 team., Public domain, via Wikimedia Commons
続く
壁というのは、できる人にしかやってこない。
超えられる可能性がある人にしかやってこない。
だから、壁がある時はチャンスだと思っている。
- イチロー -
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