
もう2か月も前の話になってしまいますが、10月の初旬に日本の実家へ一週間ほど帰国しました。
昨年は、面倒で帰らなかったので2年ぶりの帰国でしょうか。
そして、久々の日本で驚いたことがあります。
熊が頻繁に出没するようになったということです。
お菓子とか食品とかの値段がけっこう上がってたとか、ミスタードーナツでテイクアウトと店内飲食では仕様が違うようで、会計時に混乱したとか、そういう些細なことはいくつかありましたが、2年前には、街に熊がやってくるなんてことはありませんでした。
日本のニュースはよく見るので、熊出没は知っていたつもりなんですが、身近で起きるとなると、これかなり困るんです。
まず、最初に思ったのは、田舎は一軒の家の間隔も庭も道路も田んぼも畑も、やたら広いです。
ですので、正直、気を付けようがないのです。
家やスーパー、会社の建物の近くに車を停めて、建物まで一直線に駆け込むとかでしょうか?
田舎でそんなことしませんよね。
犬を飼っている人は散歩させないといけないし、おじいちゃんおばあちゃんなんかは庭の畑作業をしていたりするんで、熊に出会うかどうかは運次第なところがあります。
なので、「熊に注意!」といいながら、実際は対策のしようがほとんどなく、みんな今までどおりの暮らしをしているというのが本当のところです。
子どもの登校時だけは、大人が注意してあげるべきだと思いますが。
私の親族には農業を営んでいる人がたくさんいるのですが、山のすぐそばでブドウを栽培しているおじちゃんがいます。
おじちゃんは、栽培しているデラウェアを200~300房ほど熊に食べられた被害にあったそうです。
おじちゃんに「熊が出て危なくないの?」と聞くと意外な答えが帰ってきました。
畑を荒らす熊は昔からいて、人間の行動パターンを知っているから、早朝か夜を狙ってやってくるので、人間が襲われることはない。
最近ニュースになるのは、人を恐れない特別な熊で、川を下って街にやってくる。その特別な熊がなぜか近年やたら増えたとのことでした。
なるほど!そういえば、私が子どもの頃から、山と山のふもとの畑には普通に熊が出ていたんです。
猿が畑を荒らす被害もあるので、賢い大型犬を外で飼って、吠えてもらって追い払ってました。
山菜取りに行ったじいちゃんが、熊にばったり会って襲われそうになったなんてことも、普通にありました。
その頃の熊さん達は、あちらはあちらで人間にびびっていたんですね。
では、なぜ熊が人にびびらなくなったか。
「それは、単純に猟師の数が減ったからだと思う」というのが、農家をしているおじちゃん達の意見です。山に山菜採りやマムシとりに行く人の数も近年かなり減ったんですよね。
山の木の実が豊作で熊の個体数が増えて、次の年に不作とかそういうのもあるから、余った熊で、人のことをよく知らないヤツが民家まで来るんじゃないの、ということでした。
環境破壊で熊が山に住めなくなったとか、巷ではいろいろな憶測がありますが、おじちゃん達の考えは非常にシンプルですね。
盆地に住んでいて、360度山に囲まれて生活していた私は、実家に帰ると、山にある神社とかお寺とか、自然公園に行ってぶらぶら散歩して、大自然と神様のパワーをもらって充電するのをとても楽しみにしているのですが、今年はびくびくしながら散歩しましたね。
それでも結局3箇所くらい行きましたが。

日本への一時帰国では、自然がある 場所へ癒されに行くのが恒例です
おじちゃん達は、あの山は熊が出るとか、あの地域は出ないとか教えてくれたのですが、それでも本当?と疑いながら散歩しました。
山のふもとの駐車場から2~3キロほど山奥に歩いた場所にある有名な滝があって、そこに連れて行ってあげようかとも言われましたが、さすがにそれは断りました。
「山に出る熊と、里に出る熊は違うから大丈夫」といわれましたが、理屈はわかる気もしますが、いやいや、それでも怖いから。
農家をやってるおじちゃん達はおおらかなので、「大丈夫、大丈夫」というのは、若干、タイ人の「マイペンライ、マイペンライ」に通じるものがあるなと感じました。 (編集部 T)
※私の故郷に出没する熊はツキノワグマです
タイ自由ランド 2025年12月5日号掲載



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