世界王者MISAKI 女子シュートボクサー・MISAKIが語る、強さの原点とは

「世界一になったとき、父は泣いていました。」

そう語るのは、日本を代表する女子シュートボクサー・MISAKI選手です。

2017年にJ‐GIRLSミニフライ級王座、2021年にシュートボクシング女子アトム級王座を獲得し、そして2025年9月20日、ついにISKAオリエンタルルール世界アトム級王者の座に就きました。

プロデビューから10年。 まさに「10年越しの夢」を叶えた瞬間でした。

MISAKI選手が格闘技の世界に足を踏み入れたきっかけは、決してドラマチックな憧れからではありませんでした。

父親がジムの代表を務めており、アマチュア大会で出場選手が足りず、急に出場することになったのが最初だったそうです。

「最初の試合は負けました。一回出て終わりにしようと思っていたんです。」

しかし、その「負け」がMISAKI選手の心に火をつけました。

悔しさが、いつしか「勝ちたい」「もっとやりたい」という強い気持ちに変わり、試合を重ねるうちにプロを志すようになります。

MISAKI選手のファイトスタイルは、殴られても前に出る、超攻撃型。

「どうしてそんなに前に行けるんですか? 女の子なのに」と聞かれると、決まってこう答えるそうです。

「対戦相手より、後ろにいる父のほうが怖いからです(笑)」

セコンドには父。逃げ場はありません。

当時は厳しさばかりを感じていたといいますが、29歳になった今、こう思うようになったそうです。

「あれも全部、愛だったんだなって。」

強さの裏には、家族との強い絆がありました。

2025年の世界タイトルマッチで採用されたのは、オリエンタルルール。パンチとキックに加え、時間無制限の首相撲と膝蹴りが許される、極めて過酷なルールです。

その舞台でMISAKI選手は、スイス人選手クレメンティ・エグ選手に勝利し、世界王者となりました。

前に出続けるスタイルは、まさに「攻撃は最大の防御」を体現しています。

「試合直後は、自分だと分からないくらい顔が腫れます。でも3か月くらいで戻ります。」

そう笑って話す姿からは、覚悟と同時に強靭な精神力が伝わってきます。

MISAKI選手は毎年、年末年始にタイを訪れ、ロンポームエタイジムで5〜10日間のトレーニングを行っています。ここには、日本だけでなく、欧米やヨーロッパ、ドイツなど、世界各国から選手が集まります。

「正直、タイ人選手との交流は多くないです。日本人オーナーのジムなので、短期トレーニングの外国人選手が多いですね。」

それでも、日本では交わることのない選手と同じ空間で汗を流す経験は、大きな刺激になっているといいます。

「世界中から集まる選手と一緒に練習できる。それだけで価値があります。」

2025年6月には「ONE Championship」に出場し、勝利を収めています。世界を主戦場に戦う理由が、そこにあります。 現在のMISAKI選手の体脂肪率は9・8%ほど。一般女性の健康的な数値を大きく下回ります。

栄養士の資格を持っているMISAKI選手ですが、意外にも、普段の食生活についてはこう語ります。

「食べたいものを、食べたいだけ食べてます(笑)」

タイ料理が大好きで、揚げ物も好物。試合前だけしっかり管理し、普段は無理をしすぎない。

減量も2〜3㎏程度で、練習量を増やし、夜ごはんを少し控えるくらいです。

アトム級は45〜46㎏前後。団体によってはポンド換算で多少の差がありますが、日常的に大きな増減がないことも、長く戦い続けられる理由の一つです。

実は、世界タイトルマッチの3日後、MISAKI選手は入籍しました。なんとお相手も世界王者。立ち技打撃格闘技「RISE」選手で、キックボクシングと総合格闘技のISKAが認定する世界フライ級王者の大崎一貴選手です。現在、世界チャンピオン同士の夫婦は前例がなく、ギネス記録に申請中だといいます。

大崎選手はラジャダムナンスタジアム、MISAKI選手はルンピニースタジアム――。夫婦それぞれが、タイの聖地で戦う姿は、まさに格闘技史に残る光景です。

 

夫婦揃って世界王者!(ギネス申請中)

MISAKI選手は、10年来の付き合いがある人々への感謝を語ります。同郷・愛知県つながりから、あぱまん情報社長との出会いもありました。

「あぱまん情報は、ずっと応援してくれています。」

多くの支援と縁が、MISAKI選手をリングの上まで押し上げてきました。

あぱまん情報山口社長より世界王者記念品の贈呈

世界一になった瞬間、父は泣いていました。それを見て、MISAKI選手は「最高の親孝行ができた」と感じたそうです。

無理やり始めた格闘技。怖かった父。逃げずに前に出続けた10年。そのすべてが、世界王者という結果につながりました。

MISAKI選手の強さは、筋力や技術だけではありません。支えてくれた人への感謝と、自分を信じて前に出続ける心。その積み重ねこそが、彼女を世界一へと押し上げたのです。

タイ自由ランド 2025年2月5日号掲載

コメント