
バンコクを東西、横につなぐオレンジラインと、南北、縦につなぐパープルラインの延伸は、どちらも現在着々と工事が進められています。
完成予定はそれぞれ2030年、2028年とのことで、まだまだ先の話ではありますが、スクムビット界隈に住む日本人や旅行者にとって重宝するのは、カオサン通りに簡単にアクセスができるようになる、サナーム・ルアン(王宮前広場)駅と民主記念塔駅でしょうか。
現在、開発工事が進むラチャダムヌン・クラン通りは、民主記念塔がある大通りです。付近には王室に関係する施設や政府機関がたくさんあるため、高いビルはなく、スクムビットの都心と比べても、驚くほど横幅のある立派な通りです。

民主記念塔周辺も着々と工事がすすむ

パープルラインは民主記念塔駅からさらに南下し、すでに開通済みのブルーラインのサームヨート駅と交差します。
ブルーラインのサームヨート駅に乗り換えれば、たった一駅で、ヤワラートのあるワット・マンコン駅や、ワット・ポー近くのサナーム・チャイ駅にアクセスできるため、有名な観光地巡りがさらに簡単にできるようになります。
グルメの街!シュラン店がたくさん!魅力ある旧市街地エリア
そして、このサームヨート駅と民主記念塔駅の間のエリアは、巨大ブランコのモニュメント『サオチンチャー』のある、古い街並みが魅力の下町エリアです。
旧市街地保護地区にも指定されているそうで、高い建物はなく、クリーム色に濃い緑がアクセントとなった平屋の建物が続いています。
卸のお店や小売店、また、長年営業している老舗の飲食店が密集しており、街歩きにぴったりの場所です。
サオチンチャーを中心とした、周辺地域の魅力は別に特集を組まないと書ききれないほどですが、一言でいえば『グルメの街』でしょうか。
たくさんのタイ料理店があるのですが、昔から営業していると思われるごくごく普通の店構えのお店が、ミシュランやミシュラン・ビブルグマン店(リーズナブルなお店に与えれる称号)だったりします。
たとえば、カオニャオ・マモワンで有名な『ゴー・パニット』や、蟹オムレツで有名な『ジェイファイ』。また、バンコクにたくさんの支店を持つ『ラットナー・ヨードパック40年』や、バンコクのフードコートでもよく見かけるパッタイのお店『ティップサマイ』。ピンク色のスープが特徴のクイティアオ屋さん『ナイウアン・イェンタフォー・サオチンチャー』、豚の脳みそのスープが食べられる『ガオラオ・サモーン・ムータイタム』などなど。
また、有名店ではなくとも、古い店構えで貫禄のあるお店もたくさん見かけ、看板には「創業50年」「創業80年」などの文字が書かれています。
タイ中華の文化を色濃く残したエリアですので、軽食のお店も多く、サラパオ(中華まん)や、ディムサム(飲茶)、昔ながらのパン屋さん、パートンコー、豆乳のお店などもあちこちに見かけます。
最新のお洒落なカフェもポツポツありますが、旧市街地でカフェやデザートといえば、昔はアイスクリームが定番だったようで、自家製のアイスクリームが食べられるお店も多い印象です。

カオニャオとマンゴーのミシュラン店『ゴー・パニット』

豚の脳みそのスープが有名なミシュラン店『ガオラオ・サモーン・ムータイタム』
家族経営のお店が多いためか、店員さんも愛想よく、人情味溢れる下町という雰囲気。
ただし、前述したとおり、古い街並みをそのまま残しているため、ほとんどのお店がクーラーの効いていない路面店で、一度にあちこちを食べ歩くのも体力の限界があります。
モールやスーパーもみかけないないので、涼むところやトイレ休憩できる場所もなく、そのせいか、観光客はあまり多くない印象です。
ネットの評判を見て集まってくるのか、中国人観光客はそれなりにいる印象ですが、日本人は休日でもみかけるのは数人程度。
魅力のあるエリアなのにもったいないなと思う一方、このエリアは昔から住んでいる人を中心とした保守的な街でもあるのでしょう。
一方で、この温かい雰囲気が、ある場所から突然ガラリと変わります。
ホームレス・売春婦が集うラチャダムヌン通り MRT開通後の変化に注目
北側のラチャダムヌン通りに向かって進み、途中でブンシリ通りに入って奥に歩いていくと、お店の数も減り、路上ではいったい誰が買うの?と思うような日用品を路上のシートに並べて売っている人達を多く見かけるようになりました。
そのまま、アッサタン通りに出て、このエリアでは老舗のホテル『ロイヤルラッタナーコシン』を通ってラチャダムヌン通りに出ると、路上にたくさんのホームレスを見かけるようになるのです。

こちらはグーグルマップからの画像です。路上でいろいろな物を販売している人が急に多くなりました

ラチャダムヌン通りに集まるホームレス達。年配の売春婦も見かけます
この周辺で見かけるホームレスは、スクムビット界隈にいるような、わざとボロボロの服を着て小さい子どもを連れているビジネスホームレスや、ローカルなエリアで一生懸命ペットボトルを集めて生計を立てているホームレスとは明らかに違います。
薬をやっているのか、意思疎通はできなさそうな人が多く、自力で生活は不可能な生粋のホームレスが集まってくる場所なのでしょうか。
衝撃的な光景を目にしてしまいました。ある男性が、路上にシートもしかずに食べ物を売り始めて、ホームレスが一斉に集まりました。
袋に入ったトムヤムクンや、プラスチックのパックに入ったカオパット。一見すると普通のタイ料理ですが、よく見ると、残り物を集めた物のようで、もしかしたら、ゴミ箱から集めてきた残飯かもしれません。
お金は払っているのか、無料なのか、物々交換なのか、私はあまりの衝撃にそこは見ていなかったのですが、ホームレスのような人が、路上で日用品を販売していたのを思い出し、ホームレスの中でも独自のルールや社会があるんだろうなと思いました。
また、一見ホームレスに見える女性もたくさん見かけます。ビニール袋やカバンひとつを身に着けて、ただただ、ずっと座っているのです。女性達は、日傘をさしていたり、プラスチックの椅子に座っていたりと、男性のホームレスとは様子が違います。
もしや売春婦?と思いましたが、タイ人にこのことを聞いてみると、この周辺は売春婦も多くいるエリアで、お昼から路上に椅子を出して座っている女性は売春婦で間違いないだろうとのこと。
大通りにつながる小さいソイは、閑散として昼間なのに怖い雰囲気ですが、この通りは格安の売春宿があるそうです。

大通りにつながるソイは、閑散として昼間でも 暗い雰囲気。売春宿が多くあるらしい
なぜ、こんなにホームレスが集まるのか、ネットで検索しても情報が出てきませんでしたが、民主党記念塔周辺は昔から売春婦が多く集まる「立ちんぼ」エリアとして有名なようで、゛カオサン 立ちんぼ ” 〝 サナームルアン 立ちんぼ ” などでネット検索すると、夜の街に詳しい人のブログがたくさん出てきました。
夜はさらに治安が悪く、不気味なエリアになるそうですが、若い売春婦も路上に出てくるようになり、有名なバンコクの裏スポットのようです。
思いがけず、すごいエリアを発見してしまいましたが、オレンジラインとパープルラインが完成した後は、おそらく、ホームレスや売春婦は居場所がなくなるかもしれません。
もしくは、その前に一掃されるかもしれません。
今後の街の変化に注目がいきます。
都心からはアクセスしにくいのに、若者が集まる不思議な街 カオサン
そして、久々にカオサン通りにも訪れてみました。10年以上訪れてない場所です。
ペラペラの安い服や、半裸のチャラチャラした欧米人を久々に見かけました。

久々に訪れたカオサン通り

カオサン通りに行くのに目印になる市立図書館。目の前で開発が進んでいるので、おそらくこの周辺にMRTの出入り口ができると思われます
カオサン通りは不思議な場所だと思います。
もともとは、格安宿がたくさんあり、バックパッカーが集まっていた場所として有名でしたが、それは、今のようにネットで情報を簡単に集められなかった時代の話です。
バンコクの中心からはだいぶ離れているし、正規料金のタクシーを見つけるのも大変です。
ですが、10年以上前、20代の頃は、なんだかんだたまに遊びに行く場所でした。
タイ人の友達と、日本人の友達と、日本から来た友人と。ブルーラインも開通していなかったので、BTSでマーブンクロンまで行き、そこでタクシーを拾って行きました。
なぜ、あんな不便なところにわざわざ遊びに行ったんだろうと今でも不思議に思いますが、独特のチャラチャラした感じ、アンダーグラウンドな感じが非日常的でよかったのかもしれません。
ただただみんなでお酒を飲んで、深夜に帰ってきました。
老舗の連なる旧市街地、売春婦の集まる民主記念塔付近、そして、この独特の雰囲気を持つカオサンが開通後どうかわっていくのか。
ガラリと変わってしまったら、少し寂しい気もするので、今後も、この周辺の散策を続けたいと思います。
(タイ自由ランド2026年7月20日掲載)


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